2017.12.26
『あったかい深川 ー 堀川幹事総代、神谷町会顧問 』
—「昔はもっとにぎやかだった」
4年前まで牡丹町2,3丁目の町会長を務め、
いまは町会顧問の神谷信儀さんはそう振り返る。
牡丹町は江戸時代につくられた埋め立て地で、牡丹の花を栽培する農家が多かったことから「牡丹町」と名付けられた。
近くの古石場親水公園にある牡丹園では、
4月中旬に毎年50種約360株の牡丹の花がいまも見事に咲いている。
「若い20代、30代の人はどんどん町を出て行っちゃうよ。」
と苦笑いするのは幹事総代の堀川政芳さん。
ふたりは他の役員や土地っ子と共に牡丹町2,3丁目を引っ張ってきた。
町を盛り上げるためにしていること。
それは昔からこの町で商売している‘土地っ子‘が集まった「牡丹町笑栄会商店街振興組合」への取組みだった。
町を出て行ってしまった人たちが
一緒に参加するイベントを行い、
町の良さを思い出してもらう。
その一つが7月23日に行われた納涼夏祭りだ。
笑栄会と牡丹町2,3丁目が一緒に行うこの夏祭りは、
日差しが少し弱まった午後3時からはじまり、
あっという間に牡丹町大通りが大勢の人で埋め尽くされる。
海外の人もいるが、
観光客ではなく近くに住んでいるのだという。
集客としては宣伝をほとんどしていないにも関わらず、
すごい数だ。
なんといっても、みんなが楽しめる。
屋台の品物はどれも質が高く、安い。
やきそば1パック100円、満足のボリュームでこの価格は
夕食をそこでと思う家族を呼ぶ。
子どもが楽しめるブースや太鼓の生演奏は、人々を笑顔にする。
イベントは大成功だ。
どうして牡丹町2,3丁目にずっと住んでいるのか。
他の町と何が違うのか。
この問いに、
「あったかいんだよね、人が。」と、
60年この町に住み続ける堀川さん。
「そうそう、顔の知らない人でも笑顔で挨拶してくれる。」
「歳に関係なく、とにかく仲がいいんだ。」と神谷さん。
そんな堀川さんにとって牡丹町2,3丁目を含む‘深川‘とはどんなところなのか。
難しいね。と少し考えた末に、
「お風呂!」
突拍子もない回答と思えたが
勢いよく大きな笑みで答える堀川さんのこの言葉に、
周りにいた土地っ子は納得したように小さく頷いた。
もうずっと浸かっていたい。そんな場所、深川−−−。
来年の納涼夏祭り、
みなさんも牡丹2,3丁目に足を運ぶと、
この言葉の意味が分かるかもしれない。
Word : miu
Photo : miu ・ T★INO ・ Wataru_Matsui ・ 満石豊